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1.福利厚生とは何か?

1)福利厚生を行う目的

●従業員・家族を対象とした生活福祉向上策の総称

イメージ福利厚生とは、企業が労働力の確保と定着、従業員の安全と安心、モラールの向上、組織との一体感の醸成などを期待して行う、従業員とその家族を対象にした生活福祉向上策の総称である。この他にも労使関係の安定、人材募集における魅力訴求など、さまざまなことを目的としているが、いずれの施策も、賃金や労働時間、休日といった基本的労働条件以外に関するものだ。それらが従業員に対する総合的な生活福祉支援へとつながり、企業経営に寄与することを期待しているのである。そのため、企業は福利厚生にかかる費用を、企業会計における人事労務費の中から支払っている。それが「福利厚生費」である。

ただ現実には他の施策と重複する部分もあるため、福利厚生施策がバラバラで一貫性のない状態になっているのも事実である。また、従業員の福利厚生施策に対するニーズも、以前とはかなり様相が異なってきている。経営を取り巻く環境が厳しくなる中、企業ではかけられる原資(コスト・パワー)が限られているが、福利厚生を人事労務戦略の一つとして明確に位置付けて展開していくには、現行の福利厚生諸施策を見直し、再構築していく必要がある。

2)福利厚生費とは

●法律で定められる法定福利費

福利厚生にかかる費用(福利厚生費)は、法定福利費と法定外福利費に分類される。法定福利費は社会保険など、法律で定められている福利厚生のこと。具体的には、下記のような内容である。社会保険は従業員の賃金から控除され、社会保険料の料率アップなどがあれば、従業員の可処分所得に大きく影響する。そのため、基本的には労使折半で負担される。

■法定福利費
社会保険 健康保険 業務外の負傷・疾病・出産・死亡などが起きた場合に給付を行う制度。被保険者(従業員)だけでなく、その被扶養者(家族)にも給付が行われる。
厚生年金
保険
老齢・障害・死亡の時に、それぞれ給付が行われる制度。
介護保険 加齢に伴う疾病などにより介護が必要になった場合や、そのおそれがある場合に一定の給付が行われる制度。従業員の年齢が40歳以上65歳未満の場合に、健康保険料と一緒に徴収される
労働保険 雇用保険 従業員が失業した場合、教育訓練を受ける場合、育児休業・介護休業を取得した場合、高齢者で働いている場合、再就職した場合などに、一定の給付が行われる制度。
労災保険 従業員が業務中に災害にあった場合、通勤途中に災害にあった場合などに、一定の給付が行われる制度。
その他 労働基準法上の休業補償 業務災害・通勤災害が起こり休業した場合、労災保険から休業補償給付が支給されるが、休業後4日目以降にならないと支給されない。その3日間の空白を埋めるためのもの。
児童手当拠出金 児童手当や児童育成事業を行うための財源として、会社が全額負担するもの。

●企業が任意で行う法定外福利費

法律で定められている法定福利費に対して、法定外福利費は法律で義務付けられているものではなく、企業が任意に支出するものである。各企業の費用負担能力や必要性、また労使交渉で要求される生活福祉的な事項の改善、水準アップなど個別の実情に応じて導入され、実施される任意の福祉施策にかかる費用である。このように従業員の多様なニーズに対応しつつも、企業の経営方針や事業との関係で成り立つものであり、この点が法定福利費との大きな違いだ。代表的な例は下記の通りである。

■法定外福利費(例)
住宅
  • 世帯用住宅・単身用住宅(住宅手当は除く)
  • 持ち家援助(住宅建設費の一部補助など)
医療・保健
  • 医療施設(病院、診療所、医務室等の経費など)
  • 保健衛生(健康保険組合への補助金など)
生活援助
  • 給食(食堂等の施設経費、現物支給などの給食補助費など)
  • 購買(売店等の運営上の経費など)
  • 被服(被服の貸与・支給など)
  • 通勤施設(通勤用バス等の通勤施設の経費など)
  • 託児、育英(託児所等施設の経費など)
  • 家族援助(冠婚葬祭の経費など)
慶弔・共済・保険
  • 慶弔金(慶弔金支出)
  • 共済金(共済会への拠出金)
  • 保険(団体生命保険などグループ保険料金の会社負担額)
文化・体育・レクリエーション
  • 文化・体育・レクリエーション施設の経費など
  • 文化・体育・レクリエーション活動に要する費用など
退職金
  • 退職一時金
  • 退職年金(自社年金、適格年金など)
安全衛生
  • 安全衛生保護具(安全上の必要から支給・貸与している安全服等に要する費用など)
  • 安全衛生行事・健康診断等
その他
  • 財産形成(財形給付金制度など)
  • 通勤手当、通勤費等

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