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睡眠負債
[スイミンフサイ]

「睡眠負債」とは、毎日きちんと寝ているつもりでも、必要な睡眠時間に対するわずかな不足分が、まるで借金(負債)のようにじわじわと積み重なっていく状態を表す言葉です。その蓄積した睡眠不足の影響で、自分でも気づかないうちに仕事や家事のパフォーマンスが大幅に低下したり、深刻な病気のリスクが高まったりする可能性があることが、最新の研究によって明らかになってきました。「睡眠負債」は日本人の、とくに働き盛りの人々に広がっているといわれ、対策の重要性が叫ばれています。

睡眠負債のケーススタディ

充分寝ているはずが知らぬ間に溜まる睡眠不足
眠らない国・日本の経済損失は年間15兆円に

あなたは毎日、ちゃんと睡眠をとっていますか?――“YES”“とくに問題はない”という人は要注意。案外、「睡眠負債」が溜まっているかもしれません。自分ではそのことになかなか気づかないところが、「睡眠負債」の厄介な点だからです。

徹夜明けや平均睡眠時間が3時間の日が続くなど、極端な寝不足であれば、強い眠気を感じ、自分でも脳のパフォーマンスが明らかに落ちているとわかります。ところが一日の睡眠時間が6時間程度で、本人はしっかり眠れていると感じていても、本来必要とされる睡眠の質と量からすると、実はわずかに足りていないのです。そのわずかな睡眠不足の影響は自らの身体への“借り”となって、本物の負債のように自覚のないまま、日々じわじわと積み上がっていきます。それが「睡眠負債」の恐ろしさなのです。

1日に必要とされる睡眠時間は年齢などによって異なりますが、20~50歳代の働き盛り世代であれば、1日7~8時間程度が目安といわれます。それが、平日は忙しさなどから6時間ほどしか眠れていないとすると、1日1~2時間ずつ不足が生じ、週末には5時間以上の「睡眠負債」が積み上がってしまう計算に。充分寝ているはずなのに、週後半まで体力が持たない、仕事中についウトウトしてしまう、集中力が続かずミスをしがち、休日は寝るだけで終わってしまうといった悩みの陰には、こうした「睡眠負債」が潜んでいるのかもしれません。また、最新の研究の成果によると、「睡眠負債」は脳のパフォーマンスを低下させるだけでなく、がんや認知症といった深刻な病気のリスクを高めることも分かってきました。

厚生労働省が毎年行っている「国民栄養・健康調査」によれば、一日の平均睡眠時間が6時間以下の人は、2008年には全体の3割もいませんでしたが、その割合は年々増え、15年には約4割に達しています。一方で、平均睡眠時間が7時間以上の人は減り続け、15年には全体の4分の1ほどになっています。いまや日本人の睡眠時間は、先進国の中で最も短くなりました。アメリカのシンクタンクの調査でも、「働き手が病気で減る」「仕事のパフォーマンスが落ちる」といった睡眠負債による弊害が最も深刻と評価されたのは日本で、その経済損失は最大で年間15兆円にのぼると試算されています。

現在、働き方改革の議論の中でも「勤務間インターバル制度」の導入などが検討されていますが、働く人々が充分に眠れる環境づくりは、生産性向上の観点からも社会や企業にとって喫緊の課題でしょう。もはや「睡眠負債」を、個人の自己管理の問題に矮小(わいしょう)化することはできません。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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