福利厚生アウトソーシングの選び方
アウトソーシング導入までの流れ
福利厚生アウトソーシングを導入するまでの手順を解説する。
1)現行制度の棚卸し
現行の福利厚生制度を棚卸しし、利用者数・運用コストなどを算出。
2)方針決定
社内の情勢、社員の意向などに照らし合わせて、どのような福利厚生制度が必要かを話し合い、方針を決定。
- 制度は有効か(利用率、運用コスト、公平性、社員ニーズ、存在意義など)
- 会社の理念や社員支援の考え方に合っているか(価値、機会提供、生活設計、女性活躍支援、社会貢献など)
- メニューごとに継続、改善、廃止を検討(例えば、全員に有効なコアメニューは継続、一部有効なものはセレクトメニュー化、利用されていないものは廃止)
3)サービス検討
上記で決定した方針に基づき、アウトソーシング会社の各社サービスを検討。
4)シミュレーション
候補のサービスについて、実際に利用した場合に予算がどれだけ必要か、どれだけの利用が見込めるかなど、シミュレーションを行う。
5)依頼先決定
アウトソーシングの依頼先を決定。導入時期に向けて受け入れ体制を整える。また、アウトソーシング会社に、個人情報の取り扱いや問い合わせへの対応などを確認。
6)サービス開始
アウトソーシング開始。社員への広報を行い、サービスの利用法などについて説明。
7)導入後の検証
導入後も、アウトソーシング会社が提供する利用データを確認し、定期的に検証。契約内容を再確認しながら、改めるべき点について検討。
アウトソーシング会社ごとの特徴を見ながら、長く付き合う視点で検討
アウトソーシング会社は、その成り立ちや事業方針から、商品内容やフォロー体制に各々特徴がある。自社の方針を十分に検討し、方向性を決定したうえで、以下のポイントを確認しながら依頼先を決めていきたい。
サービス内容
アウトソーシング各社によって、サービス内容には特色がある。旅行、宿泊メニューに強い、エンターテインメント系に強い、などさまざまだ。自社のニーズに合ったサービスを揃えている会社を選びたい。また、利用のしやすさ、インターネットやモバイル端末への対応などもポイントになる。カフェテリアプランを利用する場合は、導入前に既存の福利厚生制度(人事制度)との整合性を十分チェックする必要もある。アウトソーシング各社のコンサルタントや営業担当に相談し、導入時に混乱のないように準備すべきだ。
さらに、単なるサービスの提供だけではなく、コンサルティングに力を入れている会社もある。福利厚生に関するニーズを十分にヒアリングし、パッケージメニューをそのまま提供するだけではなく、顧客に合ったサービスを構築し、提供する。導入後もサービスの利用率などの詳細なデータを提供しながら、どうすればサービスの利用率が上がるか、従業員が満足するかを、一緒に考えてくれる。こうした「コンサルティング」の観点から会社を選ぶのも一つの方法だ。
料金体系
大きく分けて、一括方式と精算方式がある。一括方式は一定額の会費を支払うことですべてのサービスを利用できるもので、精算方式はあらかじめ預けておいた補助金の中から使った分だけを精算する仕組みだ。使わなかった補助金は返金、繰り越しとなるが、利用が予定以上に多かった場合には追加料金が発生することもある(通常、予定量を超えるような場合は、利用制限をかけることも多い)。会社の事情を十分検討した上で、ムダのない料金体系を選びたい。
フォロー体制
導入後は利用データを確認しながら、もっと推進させたいメニューをどう扱うか、他に検討すべきメニューはないかなど、さまざまな問題をアウトソーシング会社と相談していくことになる。そういう意味で、福利厚生のパートナーとして長く付き合っていけそうかという見方が必要だ。ちなみに、アウトソーシング会社が、人事や総務周辺の一般業務の代行サービスを行っていることがあるが、これは企業側からの相談で生まれたものが多い。それだけ企業にとって身近な存在になっているという証拠だろう。