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専門家コラム

第93回 社会保険の適用拡大について

2021-12-07 テーマ: 人事給与アウトソーシング

法改正によって、パート・アルバイトで勤務している方の社会保険の加入条件が変わることとなりました。企業にとって、社会保険料は大きな負担となりますので、経営判断を誤らないためにも、しっかりと準備をしていく必要があります。

今回は、社会保険の適用拡大について説明したいと思います。

 

<社会保険加入の基準>

パートタイマー・アルバイトでも、会社に常用的に使用されているのであれば、原則として社会保険の被保険者となります。しかし、時間や日数が少ない(受け取る給与額が少ない)方を被保険者とするのは、扶養家族の概念をなくすことにもつながります。

そのため、一定の基準以下で働く方については、社会保険に加入することができません。

被保険者として加入する基準は、「1週間の所定労働時間」および「1か月の所定労働日数」が、同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の4分の3以上の場合です。

つまり、正社員と比べて、労働日数と労働時間の両方が4分の3以上の非正規社員は被保険者として社会保険に加入し、どちらか一方でも満たさない場合は加入しないことになります。

 

ここでのポイント、は所定労働時間「および」所定労働日数となっていることです。たとえば、正社員が週5日、1日8時間勤務の会社では、次のような働き方は、被保険者となる要件を満たしません。

1)正社員と同じ週5日勤務だが、週の所定労働時間が30時間に達しない(1日5.5時間のパートタイマーなど)場合

2)1日8時間で勤務しているが、働く日は月水金の3日(週5日の4分の3未満)の場合

 

<従業員数501人以上の企業の非正規社員の社会保険加入について>

原則は前述の通りなのですが、厚生年金保険への加入拡大を目的として、2016年10月から従業員数501人以上の企業のパートタイマー・アルバイトの加入要件が緩和されています。

501人以上の大企業(特定適用事業所)では、次の4つの要件を満たした非正規社員は「短時間労働者」として健康保険と厚生年金保険の被保険者になります。

1)週の所定労働時間が20時間以上あること

2)雇用期間が1年以上見込まれること

3)賃金の月額が88千円以上であること

4)学生でないこと

 

被保険者数が常時500人を超えているか否かは、同一の法人番号を有するすべての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者数で判断します。つまり、事業所単位ではなく、「企業全体」の被保険者数で判断すると捉えてください。

企業全体で、12か月のうち6か月以上で500人を超えることが見込まれる場合は、短時間労働者を社会保険に加入させる必要があります。なお、いったん特定適用事業所になった場合は、その後被保険者数が500人以下になったとしても、被保険者の4分の3以上の同意がない限り、取り消すことはできません。

 

<2022年10月からの非正規社員の社会保険加入について>

法改正に伴い、2022年10月から、非正規社員の社会保険の適用が拡大されることになりました。2022年10月からは、次の要件すべてを満たした非正規社員は「短時間労働者」として健康保険と厚生年金保険の被保険者になります。

2016年10月からスタートしている要件と変更があった部分については、アンダーラインを引いています。

1)従業員数101人以上の企業であること

2)週の所定労働時間が20時間以上あること

3)2か月を超える雇用の見込みがあること

4)賃金の月額が88千円以上であること

5)学生でないこと

 

<2024年10月からの非正規社員の社会保険加入について>

さらに、2024年10月からは、従業員数51人以降の企業に社会保険の適用が拡大されます。

1)従業員数51人以上の企業であること

2)週の所定労働時間が20時間以上あること

3)2か月を超える雇用の見込みがあること

4)賃金の月額が88千円以上であること

5)学生でないこと

 

 

 

今回は、社会保険の適用拡大について紹介をしました。多くのパート・アルバイト従業員の方を抱えている企業にとっては、大きな影響がある改正だと思います。

改正が行われるのは2022年10月(51人以上の企業は2024年10月)になっています。直前になってあわてることのないように、今からパート・アルバイト従業員の方の雇用契約内容等を確認し、今後の方針を決めていくことが大切です。

鈴与シンワート株式会社 人事給与アウトソーシングS-PAYCIAL担当顧問
経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。
(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。

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