【前編】選択的週休3日制の企業・従業員双方のメリットと注意点
選択的週休3日制とは、従業員が希望すれば週に3日間休める働き方です。労働人口が減少する中、育児や介護との両立を実現するための働き方を政府も推進しています。本記事では選択的週休3日制を導入するメリットや定める際のポイント、注意点を前後編で解説します。
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目次
【前編】
・選択的週休3日制とは
・選択的週休3日制を推進する政府のねらい
・選択的週休3日制のメリット
・企業側のメリット
・従業員側のメリット
【後編】
・選択的週休3日制を定める際の2つのポイント
・選択的週休3日制の注意点3つ
・働き方の柔軟性を確保することの重要さ
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選択的週休3日制とは
選択的週休3日制とは、週休3日制とは異なり、希望に応じて週3日休める働き方です。
一方、企業全体で一律に完全週休2日制から週の所定休日を1日増やす場合は「選択的」を除いた「週休3日制」と呼ばれます。
選択的週休3日制の制度を利用する際に、育児や介護、または会社に認められている副業等の事情を条件にする企業もあります。
■時短勤務制度との比較
従業員が自らの状況に応じて選択する制度として、選択的週休3日制とよく比較されるのが時短勤務制度です。
時短勤務制度は、週5日勤務を前提に1日の労働時間を短縮することです。
たとえ週労働時間を5分の4にしたとしても休日が増えるわけではないため、日中は業務に従事する必要があり、週休3日制に比べて昼の活動がしづらい面があります。
一方、終業時間が早まり夕方からの時間が空くため、平日は学校に通う子どもとの時間を過ごしやすいことや、異業種交流会や夜間大学等に通いやすいという面もあります。
従業員の就業時間外の活動によってどちらが向いているかは異なるため、多様な働き方ができることを目指すのであれば、選択的週休3日制とともに従業員が制度を選択できる状態にあることが望ましいです。
選択的週休3日制を推進する政府のねらい
政府の動きとして、2021年4月、自民党内の一億総活躍推進本部が月内にまとめる中間提言を踏まえ、加藤勝信官房長官(当時)から以下のような発言がありました。
「育児や介護、闘病等の生活と仕事の両立を図る観点から多様な働き方の推進は重要だ。政府としてどういうことができるのか検討していきたい」
その後、2023年6月には岸田総理大臣から異次元の少子化対策の一環として「普及に取り組む」という発言がありました。具体的な法整備に関する議論はこれからですが、多様な働き方が推進される方針が政府から示されています。
また、海外の先進的な取り組みとして、イギリスでは2022年6月から半年間にかけて、60社以上の企業の従業員が試験的に「週4日勤務」を行う調査※が実施されました。調査後も90%超の企業が試験的な実施を継続し、メリット・デメリットを含め多くの知見が得られています。
※「週4日勤務」の世界的な試みが導き出した結果(世界経済フォーラム)
■少子化対策としての選択的週休3日制
少子化対策は大きく分けて
- これから妊娠・出産に向かう人たちに対する支援
- 育児をしている人たちへの支援
の2種類があり、政府は2の一環として選択的週休3日制の普及に取り組んでいます。
月曜日から金曜日までのうち1日でも育児に集中できる日を増やすことによって、子どもと接する時間が増えるほか、家事スキルの向上や子どもに関する手続き等を行えるようになります。
■多様な働き方推進としての選択的週休3日制
週休3日制を選択することで休日が増える分、その時間を副業に充てることも可能になります。
全体的な傾向としては、現状の人手不足とこれから加速する労働人口の減少が問題視されており、「人手が足りないのだから副業をしている場合ではないだろう」という見方もあります。
一方で、「大企業の一部ではシニア人材の活用に悩んでいる」「業界や職種別では有効求人倍率に大きな差がある」といった状況もあり、政府としてはリスキリングや税制改正等から成長産業への人材の移動を促そうとしています。国民の持つ能力が日本全体で発揮されている社会になるよう働きかけられているのです。
選択的週休3日制のメリット
選択的週休3日制による企業側と従業員側のメリットをそれぞれ解説します。
株式会社Works Human Intelligence / WHI総研 | |
WHI総研 入社後、通勤手当や寮社宅等福利厚生を専門に大手法人の制度コンサルやシステム導入を担当。子会社の人事給与BPOベンダーにて、複数顧客に対し人事関連業務のBPRを実施。顧客教育部門であるWorks Business Collegeを経て現職。 |
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