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専門家コラム

自分で借りた奨学金は自分で返せ!?

2024-12-03 テーマ: 組織活性化施策

奨学金返済問題は、多くの若者が直面している現実の課題であり、日本の社会構造の歪みを象徴しています。「自分で借りた奨学金は自分で返すべき」という声が一部で強調されていますが、果たしてそれは正しい主張なのでしょうか。この記事では、奨学金返済問題の背景や、企業が奨学金返済を支援する意義、そしてその解決について詳しく探っていきます。

奨学金問題の背景
[進学率の向上]
近年、不確実性の高い社会情勢やビジネス環境に対応するため、企業は高度な知識やスキルを持つ人材を求めています。このような背景から、大学進学は重要なキャリアパスとなっています。日本の教育制度では中学卒業までが義務教育とされていますが、2023年度には大学・短期大学への進学率が61.1%に達し、平成27年の56.5%から8年連続で上昇しています 。さらに、高卒と大学卒・大学院卒の生涯年収を比較すると、男性で約5,600万円、女性で約6,500万円の差が生じており 、大卒者は中卒者や高卒者に比べて、長期的なキャリア形成において有利であると言われてはいます。

[学費の高騰]
進学率が上昇するとともに、大学の学費も年々上昇しています。例えば、授業料は1992年度と比較して約30年間で1.5倍に増加しました。この背景には、少子化や国からの助成金減少、物価や人件費の上昇が挙げられます。一方で賃金水準は停滞しており、すべての家庭がこの費用を簡単に賄えるわけではありません。

「自分で借りた奨学金は自分で返すべき」という考え方の問題点
[個人の責任か、社会の責任か]
その不足分を補填するのが奨学金です。日本学生支援機構(JASSO)の調査によると、大学生の約半数が奨学金を利用しており、借入総額の平均は約310万円、平均返還年数は14.5年に及びます。「自分で借りた奨学金は自分で返すべき」という考え方は、一見すると合理的に思えます。確かに個人が借りたものを個人で返すというのは基本的なルールですが、この主張は奨学金問題の構造を無視しています。

多くの若者が奨学金を借りて進学せざるを得ない状況、つまり大学卒業が一般化する環境に置かれ、卒業後に多額の負債を抱え、一方で年収は横ばいという構造において、個人にすべての責任を求めるのは不公平と言えるのではないでしょうか。この問題は、個人の努力や責任だけで解決できるものではなく、企業が大学卒業を前提とした採用をしている以上、社会全体で解決すべきであると考えます。

 

株式会社アクティブアンドカンパニー 代表取締役社長 兼 CEO
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株式会社アクティブ アンド カンパニー 代表取締役社長 兼 CEO 株式会社日本アウトソーシングセンター 代表取締役社長

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