
カフェテリアプランを活用した社会保障費抑制
6月20日に、与党の参院選挙に向けた政権公約の政策集「Jファイル」が発表された。
「持続性のある医療の実現」のためとして、「サービスを利用する高齢者の立場に立って、年金、医療、介護などのサービスを自らの状況に応じて適宜組み合わせ、総合的に利用できるように検討します。また、一部の医療保険者においては、壮・中年期における健康への自助努力をカフェテリアプラン(選択型福利厚生制度)により奨励する取り組みが広がってきており、国もその普及を図ります。」とある。
社会保険の抑制は、これまでは、年金額の引下げ、年金支給開始年齢の繰り下げ、医療費の自己負担の増加、健康保険適用範囲の縮小等、給付額を抑制する手法が主であった。これでは、保険料負担と給付の不均衡が目立ち、若者を中心に社会保険への不信につながりやすい。
それに対して、ここに挙げられている政策は、社会保険利用者にインセンティブを与えて、自発的に給付額を抑えようとするものであり、従来にない手法として注目される。すでに1年間医療機関を受診しなかった場合、本人にポイントが付与されるという施策を実施している健保組合もある。また健保組合で実施されたカフェテリアプランもある。またシンガポールの社会保障は、自分が負担して社会保険料の範囲内で将来給付を受給できるという個人管理型であり、無駄な医療は抑制しようという動機づけになっている。
その他に、これまで負担した年金・医療・介護の保険料の総額の範囲内で、それぞれの給付を増減できる等、多様な手法が考えられる。
従来にない社会保険の抑制手法としてその実現が期待される。
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株式会社ベネフィット・ワン 株式会社労務研究所 代表取締役 千葉商科大学会計大学院 教授 |
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