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退職給付制度会計
[タイショクキュウフセイドカイケイ]

将来、企業が従業員に支払わなければならない年金や退職金を厳密に見積もり、これに対する企業の準備状況を開示する会計制度。2001年3月期から上場企業に適用されました。

退職給付制度会計のケーススタディ

年金や退職金について十分な支払い<br />準備をしているかどうかを開示する

これまでの企業会計では将来支払う退職金や年金は「隠れ債務」と言われ、正式な債務としては認識されていませんでした。しかし、従業員の高齢化が進み、退職金や年金が企業にとって大きな負担となってきたことから、企業の財務状況をより正確に把握するために退職給付制度会計が導入され、年金債務を貸借対照表に計上することが義務化されたのです。

これにより、年金で積み立てた資産の運用利回りの低下や、資産の含み損などによる年金資産の積み立て不足の状況が明らかになりました。不足分は企業が一定期間で穴埋めする義務を負っており、長・中期的に見れば企業業績を圧迫する大きな要因となります。このため株価や格付けへの影響を懸念する企業は、相次いで積み立て不足を前倒しして処理をするようになりました。

日産自動車は現在の税制適格年金と厚生年金基金を柱とするグループの企業年金制度を、2005年7月から新たな制度に再編。これを機に日産本体と子会社と日産車体の税制適格年金が抱える積み立て不足約2280億円を現金で穴埋めしました。同社は5期連続で最高益を更新するなど業績が好調なことから、今が懸案だった年金問題を一気に解決する好機と判断したようです。

最近では、新型年金の導入など制度改革が進み、株式相場の上昇による運営成績の向上なども追い風となり、企業の年金の会計上の負担は軽減されつつあるようです。日本経済新聞社の調べによると、上場企業全体の積み立て不足の合計は2005年3月期末で8兆1000億円弱で、ピークだった2003年3月期の17兆5000億円から半減しました。ただ、積み立ては十分とは言い難く、年金財務の健全化にはまだ課題があるとの指摘が少なくありません。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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