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小1の壁
[ショウイチノカベ]

「小1の壁」とは、共働きの家庭などで子どもが小学生になった途端、放課後の預け先が見つからず、親が従来の働き方を変える必要に迫られたり、退職を余儀なくされたりする問題を指す造語です。日中保護者が家にいない児童の放課後の預け先としては公的制度の学童保育が一般的ですが、利用者の増加に整備が追いついていないことや使い勝手の悪さが仕事と育児の両立を阻み、社会問題化しています。また、子どもが未就学児でないと時短勤務制度を利用できない企業があるなど、職場環境にも「小1の壁」の一因があるといわれています。

小1の壁のケーススタディ

就学児童の預け先不足が仕事との両立阻む
企業が学童保育を用意し、支援する動きも

共働き家庭の子どもが小学校に入学するとき、親が直面するのが、仕事と育児の両立を阻む「小1の壁」です。

保護者が日中在宅していない家庭の児童の多くは、放課後の遊びや自習の場として、「学童保育」(正式名は「放課後児童クラブ」)と呼ばれる公的サービスを利用します。自治体や社会福祉法人、NPOなどが児童館や学校の敷地内などで運営する学童保育は、2014年5月時点で全国に約22,000ヵ所ありますが、拡大するニーズに対してまだまだ数が足りていません。利用者数は06年の約68万人から14年には約93万人と、低学年を中心に増加の一途を辿っていますが、一方で利用したくてもできない、いわゆる待機児童は約1万人に。潜在的には40万人いるともいわれます。

また、現状の学童保育のしくみは、保育園と比べると預かり時間やサービスの手厚さで劣るため、かならずしも働く親が利用しやすいとはいえません。夜間の延長保育がないか、あっても時間が短いことが多く、退社後の親の迎えが間に合わないからです。全国学童保育連絡協議会の12年の調査では全国の学童保育の約半数が午後6時まで、午後5時で閉まる施設も6%ありました。子どもが小学校に入学すると、夜間まで預けられる場所が見つからなくなり、子育て世代の働き手、とくにワーキングマザーに働き方の変更やキャリアの中断を強いているのが「小1の壁」の実態です。

こうした状況を受けて、国は19年度までに学童保育の利用枠を30万人分増やす方針ですが、一方で民間企業にも、大切な人材を引き留めるために、職場から「小1の壁」を崩そうという動きが広がっています。バンダイナムコホールディングスでは、夏休みなど長期休みの間だけでも社内で社員の子どもを預かろうと、「キッズスペース」と名付けた専用スペースを社屋内に設け、11年の冬休みから受け入れを始めました。社員の小1~小6の子どもを午前9時から午後5時30分まで預かり、一日2時間半は宿題など勉強の時間を設けるほか、親には昼休みを子どもといっしょに過ごすよう推奨しています。また、社員の子どもが希望の学童保育に入れるよう、会社が便宜を図るケースも出てきました。東京急行電鉄は14年春から学童保育を展開するグループ企業と提携。子どもが小学校に入ったら同社の学童保育を利用したいと考えている社員に対し、「小1の壁」に備えて、就学前から“入所予約枠”を確保してもらうユニークな取り組みを始めています。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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