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WBGT値
[ダブルビージーティーチ]

「WBGT値」(WBGT=Wet-Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)とは、暑熱環境による熱ストレスを評価する指標のことで、一般に「暑さ指数」と呼ばれます。熱中症の予防を目的として、1954年に米国で提案されました。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、人体の熱収支への影響が大きい気温、湿度、気流、日射・輻射熱などを加味して算出されるのが「WBGT値」です。職場における熱中症予防対策の徹底を図るために、厚生労働省が新しく5月から実施する「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」においても、「WBGT値」を活用した予防対策が推奨されています。

WBGT値のケーススタディ

職場での熱中症のリスクを把握するための指数
作業中は随時測定し、基準値を超えたら対策を

5月1日から恒例のクールビズが始まりました。2017年で13回目となるクールビズは、地球温暖化対策や節電の一環として、夏季のオフィスにおける冷房温度を28℃程度に設定し、28℃の室温でも対応できるよう、ノーネクタイや半袖シャツなどの軽装を推奨する取り組みです。05年当時、総理大臣だった小泉純一郎氏が、環境大臣だった小池百合子現東京都知事に働きかけたのが始まりでした。

しかし「28℃」という温度設定については、以前から「暑すぎて生産性が低下する」と指摘する専門家や研究者も少なくありません。先日もクールビズの旗振り役であるはずの政府関係者から「28℃は不快な温度」との発言が出て、波紋を呼びました。室温28℃が不快なら、屋外や冷房設備のない工場・作業所といった労働環境ではなおさらでしょう。生産性を低下させる以前に、働く人の健康や安全を脅かしかねません。その最たるものが熱中症のリスクです。

熱中症は、政府の策定した第12次労働災害防止計画において、重点とする健康確保・職業性疾病対策の一つにあげられています。職場での熱中症による死傷者の数は、猛暑を記録した10年以降、毎年400人から500人で推移しており、減少傾向がみられません。死亡者数は、多い年は30人を超えるなど、12年から16年までの5年間で80人を超えています。厚生労働省ではかねて熱中症予防に関する取り組みを進めていましたが、効果が見られないため、熱中症による死亡災害ゼロを目指し、事業場における責任体制の確立を含めた熱中症予防対策の周知徹底を図る「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を、17年5月から9月末まで実施することになりました。

熱中症の予防対策においては、「WBGT値」を活用して、熱中症の発生リスクを随時把握することが重要です。一般に「暑さ指数」と呼ばれるWBGT値は、労働環境や運動環境の指針として有効であると認められ、ISOなどで国際的に規格化されています。

職場では測定器でWBGT値を随時測定し、作業内容に応じて設定されたWBGT値の基準値と比較します。直射日光が当たる場所や、地面からの輻射が強い場所、通風が悪く湿度が高い場所などではWBGT値が上がりやすく、基準値を超えると熱中症のリスクが高まるので、作業の内容や場所、時間を変えるなど、職場の管理者にはWBGT値を低減するための策を講じることが求められます。なお、測定器がない場合は、環境省の熱中症予防情報サイトで、WBGTの予測値・実況値を確認することができます。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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