ホームリーブ
[ホームリーブ]
「ホームリーブ」(Home Leave)とは、出向や転勤により本国を離れ、日本国内で長期間勤務する外国人社員が、休暇などのために一時帰国することをいいます。ホームリーブにかかる諸費用を使用者が負担した場合、一定の要件を満たしていれば、その費用に関する税務上の取り扱いについては給与所得とはせず、所得税の課税対象外(経費)として処理することが認められています。
ホームリーブのケーススタディ
国内で長く働く外国人に認められる帰国休暇
エクスパッドのみ帰国の費用負担は非課税に
日本国内において長期間勤務している外国人社員が、休暇のために一時帰国することを「ホームリーブ」(Home Leave)といいますが、これが労務管理上のトピックとしてしばしば取り上げられるのは、その帰国にかかる諸費用の税務処理に特段の注意を要するためです。税法上、社員の個人的な旅費を会社が負担した場合は給与所得となり、会社はその負担額について源泉徴収を行う必要があります。外国人も日本国内に1年以上居住し会社勤務をすると、給与所得として日本の所得税の対象となりますが、そうした外国人が一時帰国する際のホームリーブ費用として支給する金品については、例外的に、以下の要件を満たせば課税しなくても差し支えないとされています。
●就業規則等に定めるところにより相当の勤務期間(おおむね年以上の期間)を経過するごとに休暇のための帰国を認めていること
●その帰国のための旅行に必要な支出(その者と生計を一にする配偶者その他の親族にかかる支出を含む)に充てるものとして支給する金品であること
●その支給する金品のうち、国内とその旅行の目的とする国(原則としてその者またはその者の配偶者の国籍または市民権の属する国)との往復に要する運賃(航空機等の乗継地においてやむを得ない事情で宿泊した場合の宿泊料を含む)であること
●その旅行にかかる運賃、時間、距離等の事情に照らし、最も経済的かつ合理的と認められる通常の旅行の経路及び方法によるものであること
こうした取り扱いは、1975年1月16日付の国税庁の通達「国内において勤務する外国人に対し休暇帰国のため旅費として支給する金品に対する所得税の取扱いについて」(直法6-1)、いわゆるホームリーブ通達に定められたものです。“例外扱い”の趣旨について、同庁はその個別通達の中で「本国を離れ、気候、風土、社会慣習等の異なる国において勤務する者について、使用者が、その者に対し休暇帰国を認め、その帰国のための旅行の費用を負担することとしている場合があるが、その休暇帰国はその者の労働環境の特殊性に対する配慮にもとづくものであることに顧み、使用者がその旅行の費用に充てるものとして支給する金品については、強いて課税しないこととするのが相当と認められるから」としています。
なお、日本企業が国内で採用し、直接雇用契約を締結している外国人社員については、この限りではありません。ホームリーブ費用の非課税措置の適用対象となるのは、海外の親会社からの出向や転勤などにより、雇用元の国を離れて、日本に一時的に赴任している社員――いわゆる“エクスパット”のみです。