ヘルスリテラシー
[ヘルスリテラシー]
「ヘルスリテラシー」とは、健康に関する情報を入手し、理解し、効果的に活用するための個人的能力のレベルのことをいいます。健康情報を正しく取り入れるためには、知識と意欲のどちらも必要です。世の中に溢れる健康情報の中から、自分が正しいと思うものを取捨選択し意思決定をしていくことで、生涯を通してQOLを維持・向上させることができます。
ヘルスリテラシーのケーススタディ
自分にとって正しい健康情報とは?
健康経営に必要な、従業員のヘルスリテラシー
2016年秋、WEBメディア業界の信頼性を揺さぶる問題が明るみに出ました。通称、「WELQ問題」です。「WELQ」は、DeNA社が運営していた健康や医療に関する情報を集めたキュレーションサイト。記事の信ぴょう性や、著作権、記事の制作体制などが問題視され、サイトの閉鎖にまで追い込まれました。
騒動のきっかけとなった記事の内容は、「肩こりの原因は幽霊」というもの。その他にも「風邪には家系ラーメンが効く」といった情報が掲載されていました。冷静に見ると、思わず笑ってしまいそうになるほどデタラメな内容であることが分かりますが、それは一定のヘルスリテラシーがあってのこと。情報発信側、特に医療情報を扱うメディアが、情報への安全性や正確性を担保することが、当然の企業責任であることはもちろんですが、WEB検索を行う情報の受け手側にもリテラシーが必要だということを、改めて認識させられる出来事でした。
そもそもリテラシーとはどういう意味でしょうか? 英和辞典では、literacy=読み書き能力と説明されていることが多く、その後に「(特定の分野の)技能、知識、能力」と続きます。情報リテラシーという文脈の場合、膨大な情報の中から自分に合った情報を探し出し、理解し、評価し、活用するという四つの能力が必要になるのです。
健康という文脈になると、自身のおかれる環境によってはより高いレベルのリテラシーが求められます。医療の世界に100%は無く、特定の治療法や健康法においても効果を示す人と示さない人のどちらも存在するからです。そのため、「自分にとっての正解」を選び取るための取捨選択能力が必要になります。
ヘルスリテラシーにおいて大切なのは、持ち合わせている知識そのものに加え、情報を入手しようとする「意欲」や、ときには情報に対して懐疑的な視点を持つ「姿勢」。健康への意識の高さがヘルスリテラシーを向上させることにつながります。昨今重要性が高まっている健康経営も、言い換えれば「ヘルスリテラシーの高い人材を育てる」ことと言えます。健康診断結果の有効活用や、人事評価制度の指標に健康を取り入れるなど、健康に関する企業の仕組みが、従業員のヘルスリテラシーを高めるきっかけになりそうです。