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限定正社員
[ゲンテイセイシャイン]

「限定正社員」とは、勤務地や仕事内容、勤務時間などを限定して働く正社員のことで、従来型の正社員とパート、アルバイトなどの非正規社員の中間的な雇用形態を指します。転勤や残業、職務変更がないため、子育てや介護などの事情で働く時間と場所に制約がある人でも働きやすい、という特徴があります。通常の正社員と比べると給与など待遇面は劣るものの、無期雇用で、福利厚生が受けられ、非正規社員より立場が安定するというメリットがあります。ただし、事業再編などに伴い、労働契約に定めた職務がなくなったり、務めていた事業所が閉鎖されたりした場合、通常の正社員より容易に解雇されるおそれがあります。

限定正社員のケーススタディ

改正労働契約法“5年ルール”の受け皿に
「企業側が簡単に解雇できる」は本当か!?

「正社員」という言い方はいつ頃から使われているのでしょうか。現在以上に人手不足が深刻だった1960年代の求人広告にはすでに「正社員募集」の記述があり、短い時間で働くパートタイマーや有期の契約社員といった新しい働き方が出てきたこの頃から、そうした雇用形態の人たちと区別するために「正社員」と呼び始めたと考えられています。

一般に正社員とは、「無期雇用」「直接雇用」「フルタイム」で働く労働者、あるいはそうした働き方を指します。正社員として採用された人の多くは、契約で定年までの長期雇用を保障されるかわりに、企業側から配置転換や残業を命じられ、原則的にどこで何をして働くかを自由に選ぶことはできません。これに対して「限定正社員」は、雇用期間に定めのない点は正社員と同じですが、勤務地、職務・職種、勤務時間のいずれか(または複数)をあらかじめ契約で特定した上で雇用関係を結びます。

勤務地や仕事内容を限って働く「限定正社員」は、労働者のワーク・ライフバランスと雇用の安定、そして企業の優秀な人材の確保を同時に実現する施策として、2013年に政府の規制改革会議などで推進の方針が示されました。議論が本格化した背景としては、同年4月に施行された改正労働契約法の影響も大きいといわれています。法改正により、同じ職場で5年を超えて働く契約社員やパートが希望すると、企業は無期雇用契約に切り替えなければならなくなりましたが、そうした働き手の多くは仕事の内容や勤務地が限定されているので、契約転換後は「限定正社員」が受け皿になると見込まれたのです。

とはいえ、こうした働き方・雇い方はとくに目新しいものではなく、政府の推進方針が出る前(2012年)に行われた厚生労働省の調査でも、およそ5割の企業がすでに限定正社員と呼べる制度を実施していました。07年にはユニクロが、転居を伴う異動がない地域限定正社員制度を取り入れ、話題を集めました。日本郵政も昨年4月から、新一般職という地域限定の正社員制度を導入。人事考課と本人の希望をもとに、昨春4700人、今春3000人を期間雇用社員から新一般職として採用しました。同社では民営化以降、期間雇用社員が定着せず、採用コストがかさんだことから、正社員比率を高めて人材確保を図りたい考えです。株式会社アイデムの研究部門である「アイデム 人と仕事研究所」が今年6月に実施した限定正社員に関する調査によると、同制度を導入した企業にそのメリットを尋ねたところ、「人件費の抑制」や「業務に習熟した人材の定着」「限定正社員のモチベーションの向上」といった回答が上位に挙がりました。また、現在正社員で働いている女性の45.0%が「勤務地限定正社員で働きたい」と答えています。

一方、限定正社員については、使用者側が「解雇しやすい」立場だとよく言われます。限定正社員の場合、職務や勤務地を雇用契約で限っているため、雇用の保障もその限りでしかなされないのは確かですが、だからといって、仕事や勤務先がなくなれば、企業が簡単に解雇できると考えるのは早計でしょう。解雇を避ける企業の努力義務が、正社員に比べて小さくなるだけであって、完全になくなるわけではないからです。先述の調査でも、約7割の企業が「限定正社員の解雇のしづらさは正社員と変わらない」と答えています。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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