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ドナー休暇制度
[ドナーキュウカセイド]

骨髄バンクを介して骨髄・末梢血幹細胞提供を行うとき、適合してから採取後の健康診断に至るまで、8回前後、平日の昼間に通院が必要なことをご存じでしょうか。多くの場合、ドナーは自分の有給休暇などを利用して通院しますが、心理的・肉体的な負担を感じる人も少なくありません。こうしたドナーに対して、勤務先が該当日数を特別休暇として認める制度が「ドナー休暇制度」です。ドナー休暇制度を導入している企業や団体、学校は約800社(2023年8月時点。日本骨髄バンク把握分)で、国家公務員にも同休暇が認められています。

ドナー休暇制度のケーススタディ

骨髄が適合しても、仕事などを理由に約半数が辞退
企業の理解で救える命がある

骨髄とは、骨の中にある新しい血液を造る組織のこと。白血病や骨髄腫などの血液の病気になると、自分で新しい血液が造れなくなってしまうため、健康な人の骨髄を移植する必要があります。骨髄バンクを通じて移植を必要としている患者は約2000人。ドナー登録者は50万人を超えますが、実際に移植が行われるのは年間1000件程度。骨髄移植を待つ患者の半数程度しか移植を受けられていません。ドナーというと臓器移植が思い浮かびますが、骨髄移植は臓器移植と異なり、生きている間しか行うことができません。また、年齢制限もあり、登録できる年齢は18歳から54歳までとなっています。

ドナー登録をし、白血球の型(HLA)が一致すると、同意確認などさまざまな過程を経て提供処置を行うことになります。骨髄バンクの提供方法は2種類。全身麻酔をかけ腰の骨から骨髄液という組織細胞を注射で抜き取る「骨髄提供」と、特別な機械で血液中にある造血幹細胞だけを取り出す「抹消血幹細胞提供」です。

骨髄移植は準備や体調管理が欠かせないため、約8回の通院に加え、いずれの方法の場合も平均3泊4日の入院が必要となります。また採取前4週間は感染予防のために海外渡航がでないので、海外出張を見合わせるなど、企業側の配慮も必要となります。そのため組織におけるドナー休暇制度の有無は、従業員のドナー登録への心理的ハードルに大きく影響します。

現在、同制度を導入している企業や団体、学校は前述の通り約800社(2023年8月時点)です。日本骨髄バンクによると、適合通知を受け取ったドナー候補者のうち、仕事や育児により「都合がつかない」という理由や連絡がとれないことで、適合しているにもかかわらず約半数が提供に至っていないといいます。企業・団体がドナーに対する理解を深めることで、救える命があるのです。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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