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産業カウンセラー
[サンギョウカウンセラー]

「産業カウンセラー」とは、心理学的手法を用いて、働く人たちが抱える問題を自らの力で解決できるように支援することを業務とする、民間資格とその有資格者のことをいいます。2001年までは旧労働省が認定する公的資格でしたが、現在は一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格となっています。産業カウンセラーは、職業名ではなく資格名。企業内での従業員の支援がベースとなるため、企業経営者や人事労務担当者など、心理カウンセラー以外の方が取得するケースが多いことが特徴です。

産業カウンセラーのケーススタディ

健康経営やESで注目の産業カウンセラー
実は難しい「傾聴」の姿勢

産業カウンセラーになるため、社会人を中心として年間約3,000人もの人が、資格試験に向けた学習に取り組んでいます。その中には経営者や人事など、社員のメンタルヘルスケアやES(従業員満足度)などに関心の高い職種に携わる人たちも多いようです。臨床心理士や公認心理師と比べると、受験資格のハードルがさほど高くないということも人気の理由の一つでしょう。これまでに、全国で6万人を超える人々が資格を取得しています。

カウンセリングにおいて最も重要とされるのが「傾聴」です。「話を聴く」というと誰でもできる技能のように思われがちですが、「本当に耳を傾ける」ことは決して簡単ではありません。相談を受けているうちに、「今の話は矛盾していないか」「こうした方がうまくいくのに」などと、自分の中にアイデアが生まれてくるのは自然なこと。しかし、傾聴においては自分の考えを伝える前にまずは相手の思いを十分聴くことが重要です。安心して何でも話せる状態を作ることが、最後には問題解決へとつながっていくからです。

また、産業カウンセラーの資格を習得することで得られた知識や技能は、他の領域でも生かすことができます。特に「傾聴」は、キャリアカウンセリングやコーチングといった隣接する分野においても、基本技能となります。

産業カウンセラーの受検資格を得るには、二つの方法があります。一つは、大学院で所定の単位を取得し、所定の専攻を修了すること。もう一つは、日本産業カウンセラー協会が運営する産業カウンセラー養成講座を修了することです。いずれかを修了してはじめて、年1回(2019年度からは年2回)の産業カウンセラー試験を受検することができます。

ただし、既存の社員に企業内カウンセラーとして活躍してもらおうと考えているなら、注意が必要です。同じ企業に勤めていることで、何らかの人間関係や利害関係が既に構築されていると、その関係性がカウンセリングに影響を及ぼす「多重関係」に陥ってしまうからです。カウンセリングには、第三者性や外部性を確保する必要があることを忘れてはなりません。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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