3歳の壁
[サンサイノカベ]
「3歳の壁」とは、0~2歳児向けの保育施設に子供を預ける保護者が、3歳以降の預け先探しに苦労する問題のことです。待機児童対策として0~2歳児のみが対象の保育施設が増設された結果、3歳以降の受け皿不足が起こり、もう一度“保活”(=保育園探し)に奔走しなければならない保護者が増えています。2015年4月から始まった「子ども・子育て支援新制度」では、小規模保育施設を認可の対象とするなど、低年齢児向けの保育施設をさらに増やす方針で、今後、「3歳の壁」問題はいっそう深刻化する恐れがあります。
3歳の壁のケーススタディ
0~2歳児に絞った待機児童対策が裏目
3歳になると、子どもが行き場を失う!?
「保育園落ちた日本死ね !!!」という衝撃的なタイトルの匿名ブログが最近、話題になりました。産休が明けたらすぐに働きたいのに、働かなければならないのに、子供を預けられる保育園がない――待機児童問題の深刻さが改めて浮き彫りになった出来事でした。しかし、運よく保育園への入所が決まり、職場復帰できたとしても、その先に待ち受けるより厳しい問題に、いまから頭を悩ませている保護者は少なくありません。子供が3歳になったとき、再び預け先に困ってしまう「3歳の壁」といわれる問題です。
待機児童の8割以上は0~2歳児。このため、国の対策として、2歳までを対象にした自治体独自の保育室や小規模保育所が優先的に設立されるようになりました。ところが、こうした施設に入所すると、3歳以降は別の預け先を探さなければいけません。3歳から保育園を探すのは至難の業。保育園ではすでに入所している2歳児の多くがそのまま持ち上がりになるため、3歳児から受け入れる枠自体が、そもそも少なくなっているのです。最初の“保活”で認定保育園に入れず、やむなく低年齢児向けの認可外施設に預けた結果、2年もしないうちにまた“保活”を強いられることに。保護者が疲弊するケースも増えており、子育て世代のビジネスパーソンにとって、「3歳の壁」は深刻な問題といえます。
しかも、昨年4月に始まった「子ども・子育て新制度」では、待機児童の対策として、0~2歳児向けの小規模保育施設が新たに認可対象に加わりました。今後、施設の増設が見込まれますが、そうなると、3歳以降の子供の預け先を探さなければならない保護者の数も必然的に増えていくでしょう。新しい制度で認可を受ける小規模保育施設でも、3歳からの預け先となる連携施設をまだ確保できていないケースが見受けられます。
多くの企業では、すでに産休や育児休暇制度が浸透し、両立支援のテーマも「復帰後の働きやすさ」へと移りつつありますが、ここへきて大きく立ちはだかっているのが「3歳の壁」問題です。人事部としても、今後の動向に注視すべきでしょう。